「息もできない」を観た。

妻と友達に送ってもらったDVDコレクションの中から、まず最初に観たかった作品を観賞。とにかく、この作品の製作・監督・脚本・編集・主演、全てを見事にこなしたヤン・イクチェンに拍手。お金がほとんどかかっていない理由にもなっていると思うが、そのおかげで作品全体に流れる通奏低音にぶれがなく、しっかりとした物語になっていたと思う。観て楽しい映画ではないが、記憶に残る名作であるには間違いない。この映画に出てくる家族ほど悲惨な結果にはなっていないが、自分が育った家庭の約30年前の記憶が蘇り、何とも言えない気持ちになった。自分にも妻がいて家庭があり、そこには今のところ安らぎや幸せを感じているけれど、一方で自分が育ってきた家庭を思い返すと、必ずしも幸福感に満ちあふれたものではなかった。家族という共同体は、ほかの共同体には生じ得ない感情がゴチャゴチャと渦巻いたもので、時間を重ねることによっても変化していくものでもあるし、安定した状態にあっても何かのバランスが崩れることによって、一瞬で嫌悪や憎悪の対象になってしまう恐ろしさをもっていると思う。
自分の家を売ってまでこの作品を作りたかったヤン・イクチュン監督の思いは画面を通して、多くの観客に伝わったのではないかと思う。少なくとも妻と自分には伝わった。
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by redballoon13 | 2011-03-29 19:51 | 仏蘭西にて