「PINA」を観たよ。(PINOじゃないよ)

ピナ・バウシュ出演、ヴィム・ヴェンダース監督による3D映画。

そもそもピナ・バウシュのダンスを初めて見たのは、妻に誘われて見に行った東京新宿文化センターでの公演だった。コンテンポラリーダンスというものを観はじめたのは大人になってからで、珍しいキノコ舞踊団が先だったか、ピナ・バウシュが先だったか忘れてしまったけれど、その面白さにはまっていった。

そのころはまだ日本に住んでいたので、ピナ・バウシュ - ヴッパタール舞踏団を観るには年に1度の日本公演だけだった。残念ながら代表作のカフェ・ミュラーをピナ・バウシュ存命中に生で見ることはできなかったが、ペドロ・アルモドバルの映画Talk to herでもほんの一部ではあるが、カフェ・ミュラーを踊るピナを観ることができる。しかし結局、踊るピナ・バウシュをライブで観ることなく、彼女は2009年に他界してしまった。もう二度と彼女自身のダンスを生で観ることはできない。本当に残念だと思う。自分と同じように思っている人は世界各国にいるだろう。

そんなピナ・バウシュのファンにぜひ観てもらい映画がヴィム・ヴェンダース監督のこの映画だ。なんとヴィム・ヴェンダースはピナの生前から彼女と一緒に彼女のダンスを映像にする企画をしていたらしい。映画が完成する前にピナは亡くなってしまったが、彼女の残したヴッパタール舞踏団のメンバーと一緒に映画の制作は続いていく。

3D映画というとハリウッドの超大作の手法というイメージが強かったので、ドキュメンタリーを3Dで?という疑問があったが、「PINA」の3Dの使い方は映画にとてもマッチしていたと思う。奥行きのあるステージと動く身体のダイナミクスを見事に捉えていた。こんなアングルでピナ・バウシュの作品を観るのは初めてで、見応えがあった。

また劇場の外に出て、街中で踊るダンスがとてもかっこいい。工場の煙突を背景に、行き交う車を背景に、森を背景に、モノレールの中で、日常の風景の中に入り込んだダンスは異質なものであってもいいはずだが、どれも自然に見える。それが自然に見えるのはピナ・バウシュのダンスがどこにでもいるであろう普通の人の感情をシンプルに表現しているからだと思う。抽象化された感情を表現するダンサーの身体からは、美しさやかっこよさと同時に人間の生が生々しく伝わってくる。年配のダンサーからは、若者の瑞々しさや力強さによる魅力とは違った魅力が、その人が生きてきた経験がにじみ出てくるように伝わってくる。

そんな素敵な舞台を作り続けてきたピナ・バウシュに改めて魅力を感じた。またその魅力を映像で捉えることに成功したヴィム・ヴェンダースも素晴らしいと思った。
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by redballoon13 | 2011-04-12 17:19 | 仏蘭西にて